現在実施中の研究内容

水環境中における病原細菌のフィールド調査,
この細菌の生存・移動のモデリング,健康リスクの評価に関する研究

●病原細菌のフィールド調査

水環境中にはヒトに病気をもたらすふん便由来の細菌が存在することがあります.この研究では,ヒトなどの温血動物の腸管内に多数存在する大腸菌をふん便汚染の指標細菌として,水環境中におけるこの細菌の拡散実態を調査しています.

■参考文献
Yoneda et al., Environmental Pollution (2022).

●病原細菌の生存や移動を表現できるモデルの開発

水環境のふん便汚染状況の推定を目指して,水環境中における大腸菌の生存や移流拡散を表現できるモデルを,数理モデルや機械学習等の手法用いて開発しています.この研究では,モデルの開発に必要な情報(水中における大腸菌の生存等)を取得するために,実験室での実験も実施しています.

■参考文献
Yoneda et al., Environmental Pollution (2024).
Yoneda et al., Microorganisms (2024).

●病原細菌で汚染された水の利用による健康リスクの評価

開発した病原細菌の生存や移流拡散を表現できるモデルを用いて,汚染された水を生活に利用することによるヒトへの健康リスクの定量的な評価にも取り組んでいます.

■参考文献
論文投稿準備中です.

大腸菌の生存に関する研究

大腸菌は,ヒトやウシ等の温血動物の腸管内およびふん便中に多数存在します.大腸菌は,水環境中では長期間生存できないという特徴から,水環境のふん便汚染に係る環境基準における衛生指標として世界中で利用されています.しかしながら,水環境で長期間生存できる大腸菌も存在し,条件次第では増殖できることも報告されています.この研究では,水環境で長期間生存できる大腸菌がどのような環境で生存・増殖でき,どのような特徴をもつのかについて,調査しています.

■参考文献
論文投稿準備中です.

これまでの研究内容

数値計算モデルを用いた水循環に関する研究

気候変動等による水環境における水循環の変化は,農業活動等の人間活動に影響を与える可能性があります.そこで,気候変動等が水循環に与える影響と,その変化した水循環が人間活動に与える影響の評価を目指して,河川流域からの流出量や河川水位を予測できる数値計算モデルである水文モデルや水理モデルの開発や予測精度の改善に取り組んでいます.そして,河川流域における水循環への気候変動の影響も,これらのモデルを用いて評価しています.

■参考文献
米田ら, 雨水資源化システム学会誌 (2019).
Fujii et al. (Yoneda: 5人中2番目), Water and Life in Tonle Sap Lake (2019).

養殖牡蠣のノロウイルス汚染に関する研究
山形大学農学部 渡部徹教授との共同研究)

●ノロウイルスに汚染されない牡蠣の開発を目指して

ノロウイルスは食中毒の原因の一つであり,このウイルスが原因の食中毒の中では,牡蠣が原因となる事例が多いことが知られています.この研究では,水環境中の牡蠣のノロウイルスによる汚染状況や,そもそもどのような特徴をもつ牡蠣がノロウイルスを蓄積しにくいのかを調査・研究しています.最終的に,この研究では,ノロウイルスを蓄積しにくい特徴を有する牡蠣を選んで養殖し,安心・安全な牡蠣の開発・生産につなげたいと考えています.

■参考文献
米田ら, 土木学会論文集G (環境) (2022).